会長挨拶

ごあいさつ

公益社団法人鹿児島県看護協会 八田 冷子

鹿児島県看護協会会長 八田 冷子

 本会は昭和23年に結成後、これまで多くの先輩方が尽力され、70年以上の歴史を持つ、保健医療福祉介護分野で県内最大の会員数を持つ職能団体です。平成24年に公益法人となり今年で10年の節目を迎えました。去る5月28日の通常総会で承認され、今回その歴史の一端を担う会長職を拝命し身の引き締まる思いです。どうぞよろしくお願いいたします。
近年、持続可能な社会保障制度の確立を目指し様々な改革が進められてきましたが、誰もが「住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けたい」そんな願いの実現が困難な時代、病気や障害などで生きづらさを抱え生活する人々の増加に加え、コロナ禍や戦争の影響で様々な不安や危機的状況が続いています。このような中、本会は日本看護協会が掲げる「いのち・暮らし・尊厳を守り育てる看護」の実現を目指し、これまで「県民の健康な生活の実現に寄与する」「県内看護職の安心・安全の拠点となる」をミッションに、看護職確保対策や看護の質向上と看護職の役割拡大等に取り組んでまいりました。
特に新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、これまで経験したことのない感染症の脅威に社会全体が混乱に陥いる中で、地域の医療提供体制確保のため看護職員の派遣調整事業等に取組み、この5月に事業報告としてとりまとめました。感染症発生時の現場支援を通して看護職の役割を発揮し県民の皆様や行政をはじめ関係団体の期待に応えることができたのではと感じております。これもひとえに会員はもとより看護職並びに関係者の皆様の理解と協力の賜物と感謝しております。
令和4年度は重点事業として、「全世代型地域包括ケアを支える看護提供体制の推進」「地域における健康危機管理体制の強化」等4項目、基盤強化事業として「組織強化に向けた会員サービスの強化と会員増」をあげ、新たに、認定看護管理者サードレベル教育や看護研究学会の充実、地域における看護職員確保事業の推進、医療的ケア児を支援するための訪問看護師育成研修事業、加えて協会史Ⅲ発行等の準備を進めているところです。先に発行された協会史には時代の要請に応えてきた本会活動等について歴代会長が寄稿されています。その中で看護職の仕事が3Kと言われていた時代、平成3年度第22回成人看護学会分科会鹿児島会場において当時の会長※が看護のイメージをプラスに変えたいと鹿児島方式5Kとして「看護は人間の感性を磨き、感動のドラマがあり、成功に歓喜があり、日々に感謝があり、人間を完成へと誘う」と発信されています。現在、コロナ禍で看護職の役割や大変さがクローズアップされる中で、今でも色あせない大切にしたい言葉です。
少子化で将来の看護職の人材不足が懸念される中、子供たちや若い世代に看護を目指してもらうためには、看護職が様々な課題や困難を乗り越えながらも患者さんや地域のために生き生きとその役割を発揮し人間として成長する姿があってこそではないでしょうか。
最後になりますが、様々な課題が山積し「地域の時代」と呼ばれるこの変革の時、感染症や戦争などによる危機的状況が一日も早く収束することを願いつつ、明るい未来のため、「看護の力」を結集し、他団体や行政、地域とも連携・協働し活動してまいります。

令和4年6月吉日

※平成2年度~平成5年度 鹿児島県看護協会会長今村節子氏